令和8年度税制改正大綱 ~少額減価償却資産の特例~
2026.01.14
はじめに:物価高で「30万円」の枠、厳しくなっていませんか?
中小企業や個人事業主の皆様にとって、決算前の節税対策や設備投資で最も馴染み深い制度といえば「少額減価償却資産の特例」ではないでしょうか。
これまでは、取得価額が30万円未満のパソコンや備品について、購入した年度に一括で経費計上(即時償却)することができました。
😓 しかし近年は、こんなお悩みが増えています
- ☑ パソコンの高性能化・価格上昇
- ☑ 半導体不足や円安による原材料高
- ☑ 業務用ソフトや周辺機器を含めると30万円を超えてしまう
「以前なら特例が使えたのに、今は資産計上(数年かけて償却)しなければならない…」
こうした実情を踏まえ、先日発表された令和8年度税制改正大綱にて、この制度の重要な見直しが決定しました。
1. 朗報:上限が「40万円未満」へ引き上げられます
今回の改正で最も注目すべきポイントは、特例の上限額の引き上げです。
| 項目 | 改正前(これまで) | 改正後(これから) |
|---|---|---|
| 取得価額の上限 | 30万円未満 | 40万円未満 |
| 年間合計限度額 | 300万円 | 300万円(据え置き) |
✅ これにより何が変わる?
これまで「30万円の壁」に阻まれていた以下のような設備も、一括経費計上の対象になります。
- 💻 ハイスペックな業務用PC(クリエイティブ・開発用など)
- 🖨️ 大型の業務用プリンター・複合機
- ⚙️ 小規模な機械装置・専用設備
「年間合計300万円まで」という枠は変わりませんが、1つひとつの選択肢が広がることで、「必要な時に、より良い設備を導入しやすくなる」というメリットが生まれます。
2. 適用期限も「3年延長」されます
今回の改正では、制度自体の適用期限もしっかりと延長されました。これにより、直近だけでなく中長期的な投資計画も立てやすくなります。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 適用期限 | 令和8年3月31日まで | 令和11年3月31日まで (3年延長) |
※上記は令和8年度税制改正大綱に基づく予定期間です。
3. 要注意:対象企業の「規模要件」が厳しくなります
上限金額アップや期限延長といったメリットの一方で、「誰でも使える」わけではなくなる点には注意が必要です。
適用対象となる法人の要件(従業員数)が縮小されます。
| 項目 | 改正前(現行) | 改正後 |
|---|---|---|
| 従業員数要件 | 一定の要件を満たす中小企業者または農業協同組合等で、事業年度終了の日において常時使用する従業員の数が500人以下(特定法人については、300人以下)の法人 | 一定の要件を満たす中小企業者または農業協同組合等で、事業年度終了の日において常時使用する従業員の数が400人以下(特定法人については、300人以下)の法人 |
⚠️ ここが落とし穴
特に中堅規模へ成長中の企業様は要注意です。
今回の改正では、「常時使用する従業員の数が400人を超える法人」は本特例の対象外となるとされています。
従業員数がこの基準に近い場合、適用可否の判定は慎重に行う必要があります。
「うちはまだ中小企業だから大丈夫」という感覚だけで判断せず、今の正確な従業員数を確認することが重要です。
4. まとめ:令和8年度を見据えて投資計画の見直しを
今回の改正は、令和8年度(2026年4月1日以後の開始事業年度など)からの適用が見込まれています。
もし現在、以下のような投資を検討されているなら、「いつ買うか」の戦略見直しをおすすめします。
☑ 投資判断チェックリスト
今の状況に当てはまるものはありますか?
- 40万円前後の設備投資を予定している
- 社内のPC入れ替えを検討しているが、スペックで迷っている
- 来期、利益が大きく出そうなので節税策を準備したい
- 従業員数が400人前後で推移している
🤝 Azure Breathのスタンス
制度が有利になったからといって、「とにかく枠いっぱいまで買いましょう」とは私たちは言いません。
大切なのは、「その投資が会社の成長につながるか」です。
- その40万円のPCで、業務効率はどれくらい上がるのか?
- 一括償却(節税)を優先すべきか、資金繰りを優先すべきか?
- 改正適用を待って来期に買うべきか、今期中に買うべきか?
財務・税務の両面から、貴社のフェーズに合わせた最適な投資タイミングを一緒に考えます。
制度を正しく理解し、「知らなかった」で損をしない賢い経営判断を行いましょう。
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